ひともっこ山
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写真の中頃 森になっているのが、ひともっこ山です。
この山には、古くから伝説があります。
『ひともっこ山』
おおむかしのことです。出雲の神様がひとりで木曽路をお通りになりました。
欄天を過ぎ寝覚ノ床をながめて桟をわたり、奥筋のほうへさかのぼっていくと、谷深い木曽路が、ぱっと開けたところに出ました。そのむこうには、美しい木曽の御嶽が長く裾野をひいて雲の上に浮かぶように見えました。
「御嶽は富士山に劣らず美し山だが、山の高さでは富士山にはとてもおよばないなあ。そうだひとつ今夜一晩中かけて、富士山と同じ高さにしてやろう。」と神様が思い立ち、木曽川のあたりの大きな岩をあつめたり土手を崩したりして、大きな大きなもっこに入れて肩に担いで運び始めました。額にびっしょり汗をかいて一生懸命はこびました。けれども、もう一息というところで、一番鳥がなき始めまた。「こんなところを人にみられてしまたら大変だ」
慌てた神様はもっこをその場に投げ出して、出雲の国へ逃げて帰られました。
御岳が、富士山より低いまま、頂上がでこぼこしているのは、こうした訳があるのです。神様が道ばたに捨てて行かれた最後の人もっこの土の山は、今でも御嶽街道の道下にポツンと残っています。
生駒 勘七著作 「木曽のでんせつ」より抜粋
ひともっこ山の裏山に御嶽街道が通っています。